資材部の懲りない面々間違った社員教育

Aの魔法陣・間違った社員教育リプレイ
イントロダクション

この文書は、テーブルトーク・ロールプレイングゲーム(以下・テーブルトークRPG)を遊んだ模様をまとめた、リプレイと呼ばれる読み物です。

テーブルトークRPGは、複数人の参加者が集まり、プレイヤーと審判役を決め、会話で進めるテーブルゲームです。プレイヤーは各自、架空世界のキャラクター一人に扮し、その役割を演じます。審判役は、架空世界の様子をプレイヤーに伝えたり、プレイヤーの操るキャラクターの行動の成否を判定したり、時には事件を起こしてキャラクター達に試練を与えたりします。一般の、審判役のいないコンピュータRPGと比べると、美麗なグラフィックスやアニメーションこそありませんが、参加者全員が想像力を働かせることで、無数の物語を即興的に紡いでいくことができます。

この遊びの楽しさを伝えるため、日本では古来から、劇の脚本のような体裁で、プレイ中の参加者の言動をまとめた読み物が作られてきました。それが、リプレイです。リプレイは「実際にゲームを遊んだ記録」です。チャットログを読みやすく要約したようなもの、あるいは、対談記事のようなものです。一見、劇の脚本のような体裁ではありますが、劇とは異なり、そのまま俳優の手で演じられるようなことはありません。ですが、この形式は、テーブルトークRPGの持つ、即興性やライブ感を追体験していただくには、最適な手法です。

ここにお届けするのは、「Aの魔法陣」というゲームルールを用いて遊んだ、のちに「間違った社員教育」と呼ばれることになった物語です。「Aの魔法陣」は、様々な冒険世界で血湧き肉躍る物語を楽しむことのできる、素晴らしいテーブルトークRPGゲームシステムのひとつです。

しかし、我々が選び、遊んだ架空世界には、剣も魔法もなく、超科学もモンスターも出てきません。また、プロのゲーマーやクリエイターが参加しているわけでもありません。ごく普通の友人同士が、限られた休日に集まっては、わいわい騒いで紡いだ、日常ドタバタコメディの物語です。

こうしてみると、参加したプレイヤーたち以外には特段需要がないように見える物語ですが、敢えてまとめたのには、理由があります。

ひとつは、「Aの魔法陣」を遊ぶにあたり、インターネット上に公開されている、先人たちのたくさんのリプレイを参考にさせていただいたことに、恩返ししたいからです。一般のコンベンション(テーブルトークRPGのイベント)などに参加したことがない我々にとって、公開されているリプレイは、「Aの魔法陣」の様々な遊び方を知ることができる、大変よい教材でした。「Aの魔法陣」を使うと、こんな風にも物語を紡いで楽しめるんだよ、という一例を新たに提供することは、これからテーブルトークRPGを、「Aの魔法陣」を遊ぼうとする方々の背中を押すことになるだろうと信じています。とはいえ、詳しい方が中身をご覧になれば、拙いルール運用や模範的でないプレイングなど多くあることかと思います。その点につきましては、何とぞ暖かい目で見ていただけると助かります。

もうひとつは、この物語が、同人フライトシューティングゲーム「間違った社員教育」の原案となったからです。ゲームに登場する魅力的なキャラクターたちが、どのような背景で生まれ、どんな事件に巻き込まれてきたのか、またそれが、フライトシューティングゲーム中の設定や出来事とどのようにリンクしているのか…。どのくらい興味をお持ちの方がいるかわかりませんが、記録として残しておくのには、何かしらの意味があるのではないか、と考えました。

そういった次第ですので、もし、フライトシューティングゲーム「間違った社員教育」を遊んだことはあるが、テーブルトークRPGは知らない、という方が、このリプレイを読み、「テーブルトークRPGを遊んでみたい」と思っていただけるのなら、これ以上のことはありません。

…もちろん、逆も大歓迎です。本リプレイは、フライトシューティングゲーム「間違った社員教育」をご存じなくても、十分お楽しみいただける内容です。テーブルトークRPGをすでにご存じで、同人ゲームのほうに興味を持たれた方…体験版もありますので、是非遊んでみてくださいね!

このリプレイは、現代日本の日常空間を舞台に、社会人なキャラクターがコメディを演じます。特別なルールは使いません。前述の通り、剣も魔法も出てきません。戦車もウォードレスも士魂号も出てきませんし、妖精も妖怪も式神も出てきません。当然、基本ルールに一部のサプリメントを結合して実現される、「Aの魔法陣」のタクティカルコンバットシステム的な側面(公式リプレイ等参照)は、このリプレイでは一切扱いません。

そんな舞台設定で大丈夫か? …そんな舞台なのに、いつもプレイヤー全員が参加できるわけでもないのに、5年以上に渡り、気が付けば10回以上セッションを重ね、キャンペーンゲームのような様相を呈したこのリプレイは、異常かもしれません。

でもね、参加者全員が世界観のイメージやプレイの方向性を明確に共有し、ロールプレイを交わすと、たとえそれがどんな世界観でも、いくら遊んでも止まらなくなってしまうほど居心地がよいのです。物理的な戦闘を見せ場にしない…戦闘自体がほとんどない状態で、毎回愉快にテーブルトークRPGを遊べている実例のひとつとして、お見せできるのではないかな? と思います。

なお、本リプレイで使用しているルールは、第15話までは、「Aの魔法陣」第3版」の日常編ルールを用いており、第16話からは「Aの魔法陣」第4版」の基本ルールを用いています。ルールについては、本文中でもいくつか解説をしますが、もちろんすべてを記載しているわけではありませんので、興味のある方は、市販のルールブックをお求めください。

第3版のルールについては、根源力・判定単位・ロールプレイボーナス・根源力配分比についての表記を省いています。プレイ時期が長期に渡っていたため、これらのルールの適用が前半と後半でマチマチになっていたことが理由です。特に後半は、我々のプレイスタイルではプレイが容易になるという理由で、一軍成功要素を5個と決め、根源力配分比は自由、成長もなしとしてしまいました。この点、ご了承ください。M*やP*の提示、ターンの区切り方などについては、例外的な運用を行うこともあります。また、一部ハウスルールを使用する場合もありますが、これらは本文中でご説明します。

第4版のルールについては、ルールブックの付属サプリメント「神々の宴」を使用しない、基本ルールでの運用となっております。そのためキャラクターメイクや成長のルールが、ルールブックのコミックパートとは異なりますので、ご注意ください。なおキャラクターシートの「原型」欄は、それぞれのキャラクターを「Aの魔法陣」第3版」でキャラクターメイクした際のものを設定として引き継いだとして表記してあります。

そのほか、一部のセッションでプレイヤーの遅参や離脱を許す(遅参を前提で到着を待ちながらプレイを開始する、遅参や離脱にあわせて難易度を変更する)など、一般から見たらとても甘い運営を行っています(例えば、一部の公のオンラインセッションでは、遅参・途中離脱とも厳禁事項で「これを破った人は二度と参加できない」と取り決められています)。これらが一般的にはマナー上問題のある行為であることは承知しておりますが、我々プレイグループ内全員で合意の上、メンバーのスケジュールの都合でやむを得ず行っております。ご容赦くだされば幸いです。

本リプレイは、フライトシューティングゲーム「間違った社員教育」の原案となる物語です。(フライトシューティングゲームのリプレイデータではありません。また、小説や台本でもありません。リプレイとは何かについては、「1.はじめに」をご一読ください。)

フライトシューティングゲーム版のほうに出演しているキャラクターたちが、あれやこれやと日常ドタバタコメディを繰り広げます。世界の危機などとは無縁の、実に些細な日常のワンシーンを滑稽に生きる、小話集です。一部のキャラクターについては、テーブルトークRPGのリプレイという性格上、その誕生の瞬間を目撃することができると思います。

ただし、フライトシューティングゲーム版とは、世界観にいくつか違いがあります。

まず、「家庭用高速小型飛翔体」、要するに飛行機ですが、これは登場しません。この設定はフライトシューティングゲームを作る際に創作された部分です。ただ、なぜ「掃除道具」という用語が生まれたか、なぜ2面の内容があんなことになってしまったか…は、本リプレイの第4話をご覧いただくと、なんとはなしにご理解いただけるんじゃないかと思います。

また、フライトシューティングゲームでは「清水亜里紗」と同じ会社に勤めていた「大河早瀬」ですが、本リプレイでは教職員となっています。逆に、フライトシューティングゲームでは別の会社に勤めていた「月見里真帆」が、「清水亜里紗」と同じ会社に勤務しています。二人が従姉妹の関係であるところは変わりません。「岡嶋政司」は、技術部ではなく、「清水亜里紗」たちと同じ資材部に勤めています。

さらに、第1話をご覧いただくとすぐにわかりますが、フライトシューティングゲームには登場していない主要キャラクターが、ひとり登場します。「須田芽衣子」です。他のキャラクターよりちょっと先輩の、コアな女性です。

それ以外、各キャラクターは本質的には同じですが、細かい性格や趣味・特技の点で異なる部分があります。特に第1話から第15話までは、端々に違いがあります。

詳細は、別添のキャラクターシートでご確認ください。

実は、第16話以降は、フライトシューティングゲーム発売後に遊んでいます。その関係で、プレイヤーの発言にはメタな内容もうかがえますし、違う世界観とは言いながら、ある程度設定が整理され、キャラクターの性格などにおける細かい差異は減っています。

個人的には、いずれフライトシューティングゲーム「間違った社員教育」の世界観でもテーブルトークRPGで遊んでみたいとは、思っています。

このページについて

本リプレイを原案とした同人ゲーム!
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